先端設備導入計画を3時間で書こう!

先端設備導入計画を3時間で書こう!

2020年10月24日
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先端設備導入計画は、中小企業が設備投資をした場合に固定資産税の減税などが適用される制度です。
新たに取得した設備に係る固定資産税が、最大で3年間にわたってゼロとなります。

2020年5月には、減税措置の適用となる対象設備が拡大されました。
これにより、減税できる設備の幅が広がり、より使い勝手の良い制度になりました。
新たに追加対象となったのは、事業用家屋構築物です。

こういった事情により、コロナ禍の現在も多くの企業が先端設備導入計画の認定申請をしています。

本記事では、この先端設備導入計画の申請書を3時間程度で書きあげるコツをお伝えします。

【先端設備導入計画】申請書をかんたんに書く

1.申請書の準備と書き方

①提出先の市町村のHPを確認する

まずは、先端設備を導入する所在地の市町村のHPを確認します。
先端設備の提出に関するHPがあるので、そこで必要な提出書類を確認します。

市町村によって、提出方法や提出書類が若干異なります。

以下は、大阪市と八街市のそれぞれの先端設備導入計画の申請に関する内容です。

申請時必要書類(大阪市)

先端設備等導入計画認定について(八街市)

HPからわかるように、大阪市では「大阪市暴力団排除条例に係る誓約書」が必要になっています。
一方、八街市では「直近の納税証明書」や「定款」など非常に多くの書類を提出する必要があります。

自社がどういった書類を提出する必要があるのかを確認しましょう。
必要書類の中には、取得するのに時間がかかる書類もあります。

認定申請書の内容に不備があれば認定の審査が通るまでに時間がかかってしまいます。

②手引きの記載例をマネして書く

認定審査に通りやすい申請書をスムーズに書くためには、提出先の市町村が発行している手引きに記載されている申請書の記載方法をマネして書くことが大切です。

提出先の市町村HPに記載例がない場合は、中小企業庁のHPに載っている記載方法をマネして書きましょう。

先端設備導入計画の記載方法

先端設備導入計画の申請書は非常に簡潔なので、記載方法をマネして書くことが最も合理的です。

では次の文章から、申請書に記載する内容について解説していきます。
どのように書いてよいか戸惑うと考えられるのは以下の3つの項目になります。

・「3現状認識 ②自社の経営状況」

・「4 先端設備等導入の内容 ①具体的な取組内容」

・「4 先端設備等導入の内容 ②将来の展望」

2.自社の経営状況を書く

「3現状認識 ②自社の経営状況」には、以下の3つの内容を記載します。

①売上高と営業利益の推移
②推移の要因(売上高等の増加、もしくは減少の要因)
③生産性を伸ばしていくための課題

記載例をマネして書けば、これら3つの内容を満たすことができます。
記載例の内容に沿って解説します。

①売上高と営業利益の推移

これは直近の決算書と前々期の決算書の数値を比較して書けば良いだけです。
中小企業庁の記載例を引用します。

売上は平成 31 年 3 月期 210,000 千円、令和 2 年 3 月期 225,000 千円と増加しており、営業利益についても平成 31 年 3 月期 1,200 千円から令和 2 年 3 月期 2,700 千円と増加している。

ここの書き方は問題ないかと思います。

②売上高等の増加、もしくは減少の要因

自社の売上高が増加、もしくは減少した要因を2行程度で簡単に書きます。
考えられる大きな要因を2つ程度ピックアップすればよいでしょう。

要因としては、大手取引先からの受注量の増加や、熟練工を中心に歩留まり改善に向けた地道な取組みの成果によるものである。

ここの書き方も問題ないかと思います。

生産性を伸ばしていくための課題

この③で記載する内容は、売上・利益を増やすために障壁となっている自社の課題です。
言い換えると、生産性を伸ばすために現状認識している課題です。

中小企業庁の「3現状認識 ②自社の経営状況」の記載例で課題に対応する箇所は以下となります。

「近年設備投資を行っておらず、現在の受注量を大幅に増加させることは難しい」
「適切な工程設計ができる人員が不足しているほか、長年の経験を活かした歩留まりの改善や品質の向上を図るには限界がある」

ここでは、「設備投資をしていない」「人員が不足している」「経験を活かした改善などの限界」などが課題として挙げられています。

3.具体的な取組内容

「4 先端設備等導入の内容 ①具体的な取組内容」に記載する内容は、上記の「2自社の経営状況」で分析した生産性を伸ばしていくための課題に対する解決策です。
そして、その解決策である具体的な取り組みとは「設備投資」になります。

先端設備導入計画は、この解決策である設備投資に対して税制優遇を受けることが出来るという制度です。
そのため、この制度を活用する企業は、①具体的な取組内容は設備投資になります。


中小企業庁の「4 先端設備等導入の内容 ①具体的な取組内容」の記載例から解決策の例をピックアップします。



「新たに三次元測定器を導入して熟練工以外の従業員であっても検査にばらつきが生じない体制の構築を図る」

この解決策に対応するのは、上記の③生産性を伸ばしていくための課題で記載した「適切な工程設計ができる人員が不足しているほか、長年の経験を活かした歩留まりの改善や品質の向上を図るには限界がある」に対応します。

4.将来の展望

「4 先端設備等導入の内容 ②将来の展望」には、具体的な取り組みを行うことで見込める成果を記載します。
つまり、自社の経営状況として分析した生産性を伸ばしていくための課題を解決するために設備投資をした結果の展望を書くことになります。

中小企業用の記載例「4 先端設備等導入の内容 ②将来の展望」を確認すると以下の個所が該当します。

三次元測定器の導入による品質管理や、製造工程と検査工程の統合による工程の短縮により、熟練工以外の従業員であっても品質のばらつきがなく、限られた人員でもより多くの受注に対応できる体制を構築することにより、大幅な生産性の向上を実現することが出来る。

まとめ

自社の経営状況、具体的な取組内容、将来の展望を通した書き方の重要なポイントは、先端設備等導入の内容を通して、課題→解決→成果というストーリーになることです。

つまり、以下のような流れです。
「生産性を伸ばすためには〇〇という課題を現状認識しています。
 そこで、△△という解決策に取り組みます。
 その結果、□□という成果の展望が見込まれます」

このストーリーの流れを意識して書くととが先端設備導入計画の書き方で重要となります。