以前から気になっていた「ものづくり補助金」
手続きが複雑で、めんどくさそう。
公募要領を読んでみたが、専門用語が多くて読む気がしない。
ものづくり補助金にそのようなネガティブイメージを持つ社長さんが多いと思います。
そのような社長さんにたいして、ものづくり補助金を実務に沿ってわかりやすく解きほぐしていきます。
この記事は、ほぼ10分で読むことが出来ます。
このサイトは町の社長さんが中小企業の支援制度を自分で申請することを後押ししています。
目次
【ものづくり補助金】を10分で理解する
何のための補助金か?
ものづくり補助金は、国の方針に沿って設備投資などに取り組む企業を応援するためのものです。
ものづくり補助金は国の予算から出ています。
このため、国の方針に沿った取り組みをすることで、補助金がもらえます。
では国の方針とは何か?
それは「働き方改革」や「生産性向上」です。
これらの方針に沿った設備投資などに取り組むことが、ものづくり補助金では必要不可欠になります。
公募要領では、国の方針に沿った取り組みを以下のように表現しています。ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
令和二年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」公募要領
つまり、ものづくり補助金とは、国の方針に沿った「働き方改革」や「生産性向上」を進める設備投資などに取り組む企業のためにお金を補助しますという制度です。
補助金はいくらもらえるのか?
補助金は最大で1000万円もらえます。
補助率の基本は1/2です。
補助率が1/2とは、例えば2000万円の事業投資に対して1000万円(1/2)もらえるというような、総事業費に対する補助金の割合のことです。
また、取り組む事業が、より国の方針に近い企業は、補助率がアップします。
より国の方針に近い事業は、公募要領で以下のように表現されています。
A類型:顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと
B類型:非対面・遠隔でサービスを提供するビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと
C類型:従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること
例えばA類型に取り組めば、補助率が2/3にアップします。
すると、1500万円の投資に対して1000万円もらうことができるようになります。
では、2000万円の投資で補助率が2/3にアップしたら、約1333万円もらえるのかというと、そうではありません。
2000万円の投資で補助率が2/3だったら、もらえるは1000万円です。
あくまでも補助金の最大金額は1000万円となっています。
どのような企業がもらえるのか?
補助金がもらえる対象となるのは中小企業、組合、NPO(特定非営利活動法人)です。
中小企業で補助金の対象となる業種は、建設業、製造業、サービス業、卸・小売業など幅ひろく、ほぼすべての業種が対象となります。
「ものづくり補助金」というだけあって製造業だけが対象かと思いきや、そうではありません。
一方、補助金の対象外となる中小企業もあります。それは「みなし大企業」です。
みなし大企業とは、出資金の総額の1/2以上を同一の大企業に所有されているなど、実質的に大企業の支配下にある中小企業のことを指します。
https://funkamoric.com/wp-content/uploads/2020/07/補助対象者(みなし大企業).pdf
組合、NPOにおいても、ほぼすべての種類の組合、NPO団体が、補助金の対象となります。
補助金は何に使えるのか?
補助金の対象となる事業経費には様々なものがあります。
機械装置費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費などです。
ここでおススメの経費の組み合わせは、機械装置費と運搬費です。
理由は、補助事業の遂行における管理が煩雑にならず、楽だからです。
見積書、請求書、納品書など事業にかかる経理資料は、すべて整理して保管する必要があります。
また、設備自体の管理はもちろん。設備の納品時に写真を撮影する必要があり、その写真も整理して、保管する必要があります。
管理保管する義務も5年間あります。
これら経理資料や設備の管理保管の手間を考えると、大型の機械装置とその運搬にかかる費用だけを補助金の対象とすることが望ましいと考えます。
例えば、2000万円の大型加工機(運搬費も含む)を買えば、その設備と設備にかかる資料の管理だけで済みます。
補助金の対象にする経費は、大きな金額でシンプルにすることをおススメします。
補助金はいつもらえるのか?
補助金がもらえるのは、最短でも事業にかかる設備投資が終わり、経費の支払いがすべて終わってからです。 また、事業を実施した成果を報告書として事務局に提出し、最終の監査を終える必要もあります。
このため、補助金がもらえるのは約1年後となります。
補助金が事業経費の支払いより先にもらえる訳ではないので、事業にかかる資金は自分で準備しなければなりません。
手元に資金がないのであれば、融資などでいったん資金をつなぐ必要があります。
募集のタイミングはいつ?
2021年1月の情報では、今年度は合計5回のものづくり補助金の公募があることが確認されています。
現在も募集中で、2021年2月19日(月)が第5回目の締め切りとなっています。
第5回目の締め切りは、今年度の最後の締め切りとなります。
2019年までは年に1~2回の公募でしたが、中小企業庁により2020年からは「切れ目のない支援」をすることが発表され、ほぼ年中いつでも応募できる体制が整えられました。
これにより、補助金の募集に合わせた設備投資などができるようになったため、以前より使い勝手のよい補助金になりました。
昨年まではものづくり補助金を使う事業の実施時期が限られていたのです。
応募するために欠かせない重要なこと
ものづくり補助金に応募するために欠かせないこと、それは国の方針に沿った事業計画を策定することです。
国の方針に沿った事業計画とは、「働き方改革」や「生産性向上」に3~5年かけて取り組む計画のことです。
これは公募要領の補助要件を記載したページで、以下のように表現されています。
以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行
・付加価値額 +3%以上/年
・給与支給総額+1.5%以上/年
・事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
ひとつめの要件のポイントである付加価値額とは、人件費+減価償却費+営業利益です。
つまり、新たに人を雇うか従業員の給料を上げなさい。(人件費)
そして、新たな設備投資をすることで生産性を上げて(減価償却費)、利益を出していきなさい(営業利益)。
ということです。
ということは、補助金を活用して得た利益はため込まず、従業員に還元する。
または、補助金を活用して、従業員のために生産性の高い設備を購入する。
ということが必要になります。
この考えに沿った取り組みが、ものづくり補助金をもらうための必要条件であり、一番の近道となります。
申し込み方法はインターネットから
補助金への応募はインターネットの公式サイトを使った電子申請となります。
http://portal.monodukuri-hojo.jp/
いきなり応募はできません。
「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要となります。
https://gbiz-id.go.jp/top/
アカウントの取得には、印鑑証明の郵送などが必要となるため1~2週間ほどかかります。
取得したアカウントのIDとパスワードを使って、さきほどの公式サイトから電子申請を行います。
まとめ
どうでしょうか。イメージできましたでしょうか。
やっぱりめんどくさそう。
そうですよね。ものづくり補助金はめんどくさいんです。
でも、1000万円がもらえるのですから、多少のめんどくささは覚悟しないといけません。
社長さん、もし御社が製造業なら、よく考えてみてください。
1000万円の営業利益を上げるには、2億円近くの売り上げを立てないといけないはずです。
これくらいの手間は惜しくないはずです。
人材に余裕があるなら、専門の担当者を付けてもいいと思います。
2億の売り上げを立てることを考えたら安いもんです。